Masayuki Shioda / Ke no Hi Hyouhaku 2 (Daily Bleach 2) “Break, Strain, Direction”
Masayuki Shioda / Ke no Hi Hyouhaku 2 (Daily Bleach 2) “Break, Strain, Direction”
Masayuki Shioda / Ke no Hi Hyouhaku 2 (Daily Bleach 2) “Break, Strain, Direction”
Masayuki Shioda / Ke no Hi Hyouhaku 2 (Daily Bleach 2) “Break, Strain, Direction”

塩田正幸 / ケの日ヒョウハク 2 "ヤブレとヒズミと方向"

通常価格 ¥2,500

塩田は2000年代から多数の作品集の制作やカルチャー誌・CDジャケット等の撮影を通じて、鋭敏な感覚で捉えた同時代性のある写真に熱狂的なファンを獲得してきました。初期の作品に多く見られるスナップ写真から変容し、最近ではブレを狙ってカメラを動かしながら撮影することが増えてきました。その予期しない驚くべきことを捉えようとするスタイル は、さまざま音楽ジャンルの聴取を経てきた塩田らしい「即興音楽」の演奏技法に近い撮影 手法と言えます。ファインダーを覗かないまでも視点や光の変動で得られる効果すら習得しつつある写真は既存の音楽ジャンルから離れて自由であろうとしたインプロヴィゼーションのようであり、さらに自分の暗室でプリントの階調をコントロールすることで現実とは異なる異質な世界を描き出すことに成功しています。

今回の表題となる「ケの日」とは、いわゆる非日常と日常を表す「ハレとケ」のうち、祭りに対して普段の生活を表す「ケ」の中で一般的な写真の枠を壊す視覚的表現に関心を持ち続けてきた塩田の造語によるシリーズタイトルです。本ギャラリーで2回目の展示となる本展では約3年間撮りためていた写真を三部構成で計8点を展示予定です。

まず、第一部「ヒズミ」(歪み)は「過去」を表し、スナップ写真というスタンダードであり古典的な表現を提示しています。薄暗い色調で日本の地方風景を捉えた作品には古い年式の車や寂れた街の片隅などが写り込み、そこからはさまざまな人間や日常生活の物語が読み取れます。次に、第二部「ヤブレ」(破れ)は「現在」を表し、奇怪な岩のある自然の光景を写したプリントの階調をコントロールした上にドローイングを重ねるなどして、現実のものの描写である状況を実験的に壊し、写真の枠を拡げてみせます。最後に、第三部となる「方向」は「未来」を表し、そこには一見何が写っているのかわからない不明確な物体が特別な意義を持って明瞭に写っており、写真表現に向き合ってきた塩田の次なる創作プロセスが宣言されているかのようです。

   

《本展に寄せて:塩田正幸》

目的は内なる探求である。

被写体は常に Trigger として作用する。次の”形成” “観察” “対話” プロセスによって Vision が観えてくる。


2010 ”SFACE, DNA ( Dirty Npeaker All )” subject は( No Recorded, No Image, No Moment )、それによって 2011 ”ケの日ヒョウハク” は立ち上がる。
”写ってなくても良い” という感覚が形を成し始める。

今回のsubject“ヤブレとヒズミと方向”は製作するプロセス(2012-2015)の中で“現在(ヤブレ) 、過去(ヒズミ) 、未来(方向)” を再認識する事になった。

塩田正幸

    

また、ご参考までに、本シリーズが立ち上がるきっかけとなった8年前当時の塩田の個展を評された写真評論家・飯沢耕太郎氏の文章を転載させていただきます。

   

塩田正幸の名前は以前からよく目にしていたのだが、最近になってその仕事の面白さがようやく見えてきた。最初に注目したのは2008年の写真集『ANIMAL SPORTS PUZZLE』 (TOKYO CULTUART)で、子どものいたずらのように組み合わされたカラフルなオブジェの集合体を撮影したものだ。そのでたらめとも思える発想の方向性や瞬発力が日本の同世代の写真家たちとは違っているように感じた。聞くところでは、ノイズ系のミュージシャンとしても活動しているということで、そのあたりの刺激に全身でさっと反応していく感覚が、写真にも独特のリズムを生んでいるのだろう。

3年ぶりという今回の個展でも、あまり一つの方向に収束していくことなく、ノイズを撒き散らしていくような彼のスタイルがよくあらわれていた。巨大なモノクローム・コピーのポートレート、ライトペンで一筆書きしたようなグラフィティ的な作品、カラープリントを屋外に放置して埃を積もらせたシリーズなど、やりたいことをやり放題で形にしていっている。その全方位的なアンテナの感度を、どこまで保ち続けることができるかはわからないが、今のところはこの調子で突っ走っていっても大丈夫ではないだろうか。自主レーベルの写真集作りにもセンスのよさがうかがえる。こちらも、どんどん出していくといいのではないかと思う。

(塩田正幸個展『SFACE』『DNA (Dirty Npeaker All)』2010年, G/P gallery, artscape レビュー http://artscape.jp/report/review/1227647_1735.html

   

塩田正幸 (Masayuki Shioda)

写真家。1973年埼玉県生まれ。『NPEAKER』(art beat publishers/2002)、『ANIMAL SPORTS PUZZLE』(BARTS by BEAMS/2009)を出版。2009年4月から2010年3月まで studio 35 minutes(東京・新井薬師前)で行われたマンスリーグループショー 「35MINUTESMEN」を主催。他にも、自主制作の出版レーベル「FLASH BOOKS」より作品集を多数発表。

 

サイズ 297mm x 210mm x 7mm / 68P  
表紙 Softcover
発行年 2018
ISBN 978-4-909618-05-4
発行 amala books