自然派ワインとは何か。
「自然派ワインを置いています」。巷でよく見かける「自然派ワイン(英語:ナチュラルワイン、仏語:ヴァン・ナチュール)」とはどんなワインなのでしょうか。
持続可能性のある自然なワイン造り
かつてワインは家庭でつくる自然な飲みものでしたが、20世紀に入ると、機械や化学肥料・農薬などの化学薬品によって、ワインの大量生産が可能 となりました。しかし、それは畑の土壌の生態系を破壊し、環境やワインそのものに対して悪影響を与えていることがわかり、持続可能性のある自然なワイン造りを目指す造り手が世界的に増えてきました。
畑の土壌はブドウ果の品質を左右すると言われ、自然な肥沃性が保たれた土壌ではブドウが健全に育ちます。有機物が豊富な土壌は水はけや空気の通りが良く、ブドウに必要な栄養素を長期間にわたって供給し続けます。こうした持続可能性のある有機的栽培方法として、農薬の使用をできる限り減らした減農薬栽培(リュット・レゾネ、仏語:Lutte raisonnée)、哲学者ルドルフ・シュタイナーが提唱した月や星の運行などを農作業に取り入れて植物本来の力を引き出すビオディナミ農法(バイオダイナミック農法)、農薬や除草剤・化学肥料や添加物などを一切使用しないでぶどうを栽培するビオロジック農法など、さまざまな考えがあります。
自然派ワインそのものには厳密な定義はなく、オーガニック認証は組織によって基準が異なります。参考までに、上質な自然派ワインのインポーターである野村ユニソンさんは次のように挙げます。
「私たちが、ワインのご紹介の中で『自然派』という言葉を用いる場合は、以下の条件を基本的に満たしています。
- 使用されるブドウが(認証取得の有無にかかわらず)有機栽培されている。
- 自然酵母による発酵を行い、補糖・補酸などの味わいの調整を行わない。
- 上記の条件を満たした上で、生み出されたワインが、飲み手に心地良さや感動を与えてくれる魅力を備えたものである。」
自然派ワインは、高級ワインで知られるロマネ・コンティのように無農薬であることをあえて表に出さない場合もあれば、自然にこだわるあまり、酸化や腐敗の問題を抱えたまま、ワインのおいしさを引き出しきれていない生産者や、温度管理が行き届いていないワインが流通しているのも現実です。ぜひお気に入りの一本を見つけて、ブドウ本来の多様で豊かな味わいをお楽しみください。